【オリジナル＆特殊彫刻】お施主様の想いをしっかり形にするお手伝いもしています

杉並区荻窪の石材問屋・大徳石材工業の大代（おおしろ）賢太郎です。

さて、今週はお彼岸前ということもあり多くの製品が入荷し、中にはお施主様のこだわりがつまった墓石も見受けられます。
中でも「これは」というオリジナル特殊彫刻を施した洋型をご依頼いただきましたので、経緯を追ってご紹介したいと思います。

それは、お得意先の石材店様からのこんな問い合わせからはじまりました。
石材店様「お施主様が洋型の竿石の正面に『コイ』を彫刻したいとおっしゃっていて、どういう風に彫ったらいいか相談に乗ってください」
私「『恋』ですか…」
この時点では私、完全に勘違いしていました…（笑）
その後よくよく話しを伺うとお施主様が『錦鯉』を飼われていて、錦鯉のイラストを竿石の正面に彫りたいとのご相談だったのです。

これまでレーザーやサンドブラスト、影彫りで人物や動物、鳳凰といったデザインは彫刻したことがあったのですが錦鯉は初めてで、しかもお施主様から提供されたイラストがリアルで細かい、そして石材はインドのＭ１０という中間色なのでレーザーや影彫りで彫っても見えづらい…。
さて、どうしようかと考えたところＳＮＳで繋がっているとある彫刻屋さんが思い浮かびました。

まずはその方の作品をご覧いただきましょう。

いかがでしょうか。繊細さといい、グラデーションのかけ方といいスゴく綺麗に彫刻されていますよね。
私の知る限り、もうこの彫刻屋さんしかないなということで、すぐに問い合わせをしたところ快諾をいただきました。

ただ石材店の皆様ならご存じの通り、彫刻部分にペンキを入れても経年劣化で剥がれてしまうのでその部分が最大のネックです。
心配だったのであらかじめ確認をしたところ、こちらの彫刻屋さんが使用している特殊な塗料は簡単には剥がれはしないけど、ＵＶカットコーティングをしても数年後には色褪せてくるとのこと。
それを石材店様を通じてお施主様に伝えたところ「色入れは無し」で決定しました。

ここまで決定したら、まずはお施主様から提供されたデザインを基に、彫刻用にレイアウトを作成していきます。
スゴく良く書けていますが、かなりの細かさですね。

ただ、このままでは彫り上がりがどのようになるのかお施主様もイメージがし辛いということでサンプルも作成していただきました。
そして出来上がったサンプルがこちらです。

鱗の細かな部分も浅深をつけてよく彫られています。ただ私自身は、この時点で何かが足りないなと感じていました。

しかし、いくつもサンプルを作ると労力も費用もかかるし…。
そこで、作成したサンプルを画像処理ソフトに落とし込んで、他の彫刻パターンも作成してみることにしました。
そして試行錯誤した結果がこちらです。

いかがでしょうか、一部分だけ磨きを残すことで色の強弱がハッキリしました。また上の写真の錦鯉は、元のイラストでは背びれからお腹にかけてコントラストがかかっていたので、彫刻方法を変化させて表現してみました。

ということで、あとは実物の竿石に実寸のレイアウトを貼り付けて、お施主様に大きさや位置そして彫刻方法をどちらにするか最終確認です。

彫刻位置やサイズは１回でＯＫをいただき、彫刻方法も後者の磨きを残すパターンでご了解いただきました。
そして間違えがないように、彫刻屋さんに指示書をお送りし仕上がってきた彫刻がこちらです。

正直にいって私自身、今回はかなり苦労しましたが仕上がってきた彫刻をみて、試行錯誤を繰り返したことで本当に良い製品をお施主様の元へお届けできるのでよかったなあとホッとしています。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。
当社ではこのように石材の提案だけではなく、石材店様やお施主様のご要望を受け止め、取引先と話し合いを重ねながら、想いをしっかり形にするお手伝いをさせていただいております。
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